説教『約束された聖霊が降った』(使徒1:3~11、2:1~4)

2015年 5月24日  聖霊降臨日・ペンテコステ礼拝・説教要約
説教『約束された聖霊が降った』(使徒1:3~11、2:1~4)

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◎ 5月第4の主日を迎えました。先週は、初夏を通り越して夏本番の暑さになりました。教会の暦では、今日が聖霊降臨日・ペンテコステです。主のご復活から50日目、初代教会の人達に主の霊・聖霊が降り、全世界に向けて福音宣教が始まったのでした。今日は、その出来事が記されている使徒言行録を取り上げ、聖霊が降された意味、また、聖霊の働きについて学び、聖霊によって前に向かって歩みたいと思います。◎ 最初に主イエスが天に帰って行かれる前、使徒達に聖霊を降す約束をされた場面を見ておきましょう。
使徒言行録1:3~4には、主が復活された後、40日間、使徒達と生活を共にされましたが、ある時、主は「エルサレムを離れず、父の約束されたもの(聖霊)を待ちなさい」と言われ、聖霊によって洗礼を受けること、聖霊を受けると力を受け、地の果てまで主の証人となることを約束されました。その後、主は天に昇って行かれましたが、その10日後、主の復活から50日目に聖霊が降ったことが記されています。
◎その時の様子が使徒2:1~4に記されていますが、この日は五旬節・ペンテコステでした。五旬節とは、ユダヤ人の祭りで、出エジプトを祝う過越の祭りから50日目にモーセがシナイ山で十戒を授与され、神の民が誕生したことを祝う祭りです。この日は、世界中から離散したユダヤ人がエルサレムに集まっていました。そのような中で、突然、激しい風が吹いてくるような音が天から聞こえ、その音が家中に響き、炎のような舌が一人一人に留まったかと思ったら、一同が世界各地の言葉で話し出したのでした。これが、エルサレムから全世界に向けて福音宣教が始まった日である聖霊降臨日に起こった出来事です。その後、ペトロが主イエスを証言し、3000人もの人たちが洗礼を受け、福音宣教が世界に向けて始まったのでした。

◎ この聖霊は、その出来事から2000年経った今でも私達に注がれ、豊かな恵みを与え、私達を力強く導いています。では、聖霊は私達にどのような恵みを与え、どのように働いているのか。今日は、聖霊の働きについて3つのことをお話し、私達の内に働いている聖霊に感謝したいと思います。聖霊の第一の働きは、私達に真理を明らかにし、真理を教えてくれることです。ヨハネ福音書14:16には「父は別の弁護者を遣わして永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。この方は真理の霊である」とあり、16:13には「真理の霊が来ると、あなたがたを導いて真理をことごとく悟らせる」とあります。具体的には、罪、神の義、神の裁き、救いについて聖霊は教えてくれます。ペトロもパウロも聖霊の働きによって主の救いの意味を悟りました。私達も聖霊の働きによって主の救いの意味を悟ります。逆に、福音を語る時でも、福音が相手に分かるように聖霊が働きかけてくれます。使徒言行録2章にあるように聖霊は使徒達に働きかけ、世界のあらゆる言葉、つまり、相手に分かる言葉で福音を宣べ伝えました。日本においても幕末や明治の初め、欧米の宣教師から福音が伝えられましたが、言葉の壁を越えて福音は宣べ伝えられて行きました。この聖霊の働きによって福音は全世界に広がりました。この福音宣教の時を聖霊の時・教会の時といいますが、主の来臨と再臨の間の中間の時とは、宣教の時・聖霊の時・教会の時と言えます。私達は、主が再臨される日まで主の福音を全世界に宣べ伝え、主の再臨に備えて生きて行かなければなりません。

◎ 聖霊の第二の働きは、主を信じる者を力強く導き、あらゆる試練や困難を乗り越えさせ、各自が目標を達成する日まで力強く導くと言う働きです。使徒言行録1:8には「あなた方の上に聖霊が降ると力を受ける」とあります。この力がギリシャ語でデュナミスと言い、ダイナマイトの語源となっています。つまり、聖霊は大きな力を持っており、あらゆる試練や困難、壁を破壊し、乗り越えさせるのです。使徒言行録の4章では使徒ペトロが議会で尋問を受ける場面があります。そこでペトロは「ほかの誰によっても救いは得られません。私達が救われる名はこの名(イエス・キリスト)のほか、人間には与えられていないのです」と証言し、4:19では「神に従わないであなたがたに従うことが神の前に正しいかどうか考えてください」とペトロは語ります。パウロもまた様々な試練がありましたが、神の導き・聖霊の力強い導きによって窮地を脱して行きました。その聖霊は私達にも注がれており、私達を力強く導いています。ゼカリヤ書には「武力によらず、権力によらず、ただわが霊によってと万軍の主は言われる」とあります。聖霊こそ、最強の力です。この聖霊の力によって私達はどんな試練・困難を乗り越えて行きたいと思うのです。
◎ 聖霊の第三の働きは、私達を一つにすると言う働きです。エフェソ書には「霊による一致を保つように努めなさい。体は一つ、霊は一つです」とあります。一つにするのは愛の働きです。聖霊は主の霊・神の霊であり、愛の霊なのです。コリントⅠ,13章にあるように聖霊の最大の賜物は愛です。人間の愛は不完全ですが、神の愛・聖霊の愛は完全です。この聖霊の愛によって私達は愛し合い、一つにされるのです。