説教『空に輝く約束の虹』(創世記9:1~17)

2014年5月18日             主日礼拝・説教要約
説教『空に輝く約束の虹』(創世記9:1~17)

hana_006
◎5月第3の主の日を迎えました。先週、安倍首相が集団的自衛権の行使容認に向けて検討することを公表しました。政治家には、変えるべきものと変えてはならないものを厳密に考えることのできる思考力と判断力が常に求められます。変えてはならないものを変えれば、取り返しがつかないことが起こります。今こそ私達国民は厳密に判断し、監視することが求められています。このことは政治だけでなく、人生においても信仰においても必要です。私達は常に不変のものを見極め、そこに立脚して生きて行かなけばなりません。今日取り上げる創世記第9章においても不変のものが記されています。神の祝福と神の約束です。今日私達は変わることのない神の祝福と神の恵みの約束をしっかりと心に刻んで行きたいと思います。
◎今日の創世記第9章は第6章から始まったノアの洪水物語の最後の部分・締めくくりの箇所です。今日はここから大切なメッセージを聞いて参りたいと思います。その前にこれまでの所を振り返っておくと、神様はこの地上に悪が増し、人が常に悪いことばかりを思い計っているのをご覧になり、心を痛め、地上に人間を創造したことを後悔し、この地上から人間と生き物達を拭い去ることを決意され、大洪水をおこされました。しかし、その中でノアとその家族を選び、大きな箱舟を造らせてノアの家族と生き物を一つがいを生き伸びさせ、新しい世界を初めようとされます。そして、その1年後、洪水の水が引いた後、ノアの家族と生き物達は地上に降り、新たな歩みを始めたのでした。その後どうなったのかが今日の話です。
◎今日の箇所、創世記9:1~17には「祝福と契約」という見出しがつけられています。前半の9:1~7には神の祝福が、後半の9:8~17には神の契約の話が描かれています。今日はまず前半から3つのメッセージを聞いていきましょう。まず第一のメッセージは、神様がノアとその家族を祝福されたことです。神は、洪水後、「産めよ、増えよ、地に満ちよ」と祝福されました。命の誕生する瞬間ほどすばらしい瞬間はありません。神は命の誕生を祝福されたのです。この祝福は創世記第1章29節の祝福と同じです。洪水による命の絶滅の後に神が命の誕生を祝福されたということは、神の祝福は継続していることを表しています。
神は一貫して地上の生き物達の命の誕生を祝福しておられるのです。この祝福の継続は私達にも言えます。
どんなに辛く苦しい時でも神の祝福は失われていません。神の祝福は変わることなく、失せることなく、常に私達の上に注がれているのです。神の祝福は変わることなく、私達すべてに注がれ続けているのです。
◎第二のメッセージは、人類に肉食が許されたということです。これは人類の自由の範囲が広がったことを表しています。それほどまでに人類に対する信頼が大きくなったのです。しかし、だからと言って人間は、動物達をむやみに殺して食べることは許されません。私達は常に神が与えた他の生き物達の尊い命を受けて生きていること、他の命への畏敬と感謝を忘れてはなりません。自由と畏敬・感謝は一つなのです。
◎第三のメッセージは、人類は自由が広がった分、責任も大きくなったということです。9:4に「肉は血を含んだまま食べてはならない」とあります。これは、血が神の命を宿していると考えられていたからですが、それ以上に、動物を傷つけたり、虐待・虐殺することを禁じているのです。生き物達は神の命を受けた尊い存在です。その中でも人間は神にかたどって造られた尊い存在です。だから人を殺すことは堅く禁じられました。イエス様はそれをより徹底して、人に怒ること、バカにしたり傷つけることも堅く戒められました。私達は神の造られた命、とりわけ人に対し常に敬意と尊敬をもって接しなければなりません。
◎このように前半部分で神はノア達を祝福されましたが、後半では恵みの契約を立てられます。9:11にあるように神は「肉なるものも地も二度と滅ぼすことはしない」と契約を立てられます。これは契約と言うより約束・宣言と言っていいでしょう。神様は一方的な恵みの約束を宣言されたのです。しかも、これは永遠の約束でした。この恵みの約束が後に主イエスの十字架と復活と言う救いの出来事に実現したことを思います。このノアに対する契約は聖書における最初の契約ですが、この契約・約束は忘れられていなかったのです。しかも、この約束はすべての生き物に対する約束でした。万物救済の約束と言っていいでしょう。神はその約束が確かである「しるし」として虹を置かれました。虹が現れると私は契約に心を留めると宣言されたのです。虹がかかると歓声が上がります。虹は「レインボウ」、「雨の弓」を意味します。
ヘブライ語で「ケシュト」も弓を意味します。神は武器である弓を手放し、天地の間に虹を置かれたのです。これは和解・平和・救済の約束を表します。私達はここに神の愛と恵み、希望と祝福を見ます。ノアが見た虹は今も大空に輝いています。私達は虹を見る度に神の愛と恵み、希望と祝福を思い起こすのです。