説教『あなたの道を歩み続けよ』(ヘブライ12:11~13)

2015年 9月6日    主日礼拝・振起日・全体礼拝・説教要約
説教『あなたの道を歩み続けよ』(ヘブライ12:11~13)

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◎ 9月最初の日曜日を迎えました。夏休みも終わり、先週から2学期が始まりました。2学期も良く遊び、よく学び、お友達とも仲良くして、充実した、素晴らしい学期になるように祈っています。教会でも、この秋、敬老の日の礼拝と祝会、教会修養会、バザー、もちつき、特別伝道集会、クリスマスと色々な行事が予定されています。今日は、この秋の活動が実り豊かなものになるように心を一つにして祈りながら礼拝を捧げたいと思います。

◎ さて、この夏休みには、旅行や帰省、キャンプや合宿など様々な体験をしたことでしょう。また心打つ映画やテレビ番組も観たことでしょう。私も心動かされるテレビ番組がありました。その一つに8月20日にNHKで放送された「にっぽん紀行」と言う番組がありました。それは、北海道の中標津町にある一本の道を巡る番組でした。その道は北根室ランチウエーという道で、約70㌔ある長い道です。この道を造ったのは酪農家の佐伯さんというおじさんです。佐伯さんは牛を飼いながら牛と一緒に歩いている内に、嫌なことを忘れて、気持ちが良くなっていくそうです。それで佐伯さんはここに一本の道を造り、多くの人に歩いてもらおうと思い、10年かけて一本の道を造りました。その道は牧場の脇を通り、森の中を通り、また、砂利道を通ります。さらに、丘を登り、最後は高い山に登る苦しい坂道があり、目的地の山頂につながっています。この道は70㌔ありますから、最後まで歩くと2日から3日かかります。この道のことを知って、全国から多くの人々が集まり、ひたすら歩き続けます。

◎ 川崎から来たという女の人は、仕事のことで悩んでいました。どうやったら仕事がうまくいくのか苦しんでいました。それで、その苦しみを何とかしたいと思って、このランチウエーに来ました。そして、ただひたすら歩きます。牧場の緑の中を歩き、森の中を歩き、丘の上を歩く。そのように歩いている内に頭と心の中にあった、もやもや、悩みが少しずつ消えていき、最後は、悩んでも仕方がない、ただ誠心誠意、尽くして働くだけだと心が定まりました。そのように一本の道を歩き続けていく内に、悩みが消え、心が軽くなって行ったといいます。

◎ 東京から来た23歳になる加藤君はデザイナーになる学校に行きましたが、途中で学校を辞めて、この道を造った佐伯さんの牧場に働きに来ました。佐伯さんは加藤君にその道の管理を任せます。加藤君は機械で草を刈ったり、道に伸びた枝を切ったりしますが、うまくいきません。それで加藤君は一度、この道を最後まで歩いてみようと思い、歩き始めます。ところが、2日目の朝、雨が降っています。加藤君は外に出るのを止めます。その雨の中で自分を振り返ります。すりと、自分はこれまで嫌なことがあるとすぐに逃げていた、嫌なことを避けていたことに気が付きます。そして、そういう自分ではだめだと思い、雨の中に出ていき、歩き始めます。そして、苦しい山道を登り、ゴールの山頂に着きます。山頂からは登ってきた道が見えます。うしろを振り返ると、摩周湖という美しい湖が広がっていました。この景色を見ながら、加藤君は歩き続けてよかったと思いました。最後まで歩けば、すばらしい風景が広がっていることを知ったのでした。そして自分に大きな自信を持ったのでした。

◎ 私達も、先日のサマーキャンプで陣馬山という山に登りました。標高850メートルの山です。7人の子ども達、 3人のリーダで登りました。小学校4年生の一人が体調を崩し、1人のリーダと一緒に下りて行きました。残りの 6人に上る思いを確認して登りはじめました。ところが、小4の二人が「もう止める」「もう下りたい」と言いました。私達は励まして、ついに全員が山頂に着きました。すると、その二人は大変喜び、美しい風景を見ながら「来てよかった」と言いました。自分に自信を持てたようでした。私達は、途中で止めることなく歩き続けると必ず山頂に着くこと、山頂にはすばらしい風景が広がっているということを知り、また、最後まで歩き続けることの大切さを知り、そして、大きな自信を得たのでした。もちろん、最後まで歩き続けることは難しいことです。

お腹も空くし、足も痛くなる。しかし、それに耐えて最後まで歩き続けるとすばらしいものを得ることができるのです。先ほど読んだヘブライ書にはこうありました。「およそ、鍛錬というものはしばらくの間は喜ばしいものではなく、悲しいと思われるのですが、あとになると、それで鍛えられた人々に義という平和に満ちた実を結ばせるのです。だから、自分の足でまっすぐな道を歩きなさい」と。歩き続ける、すばらしさを教えています。

◎ それでは、私達はどうしたら最後まで歩き続けることができるのでしょうか。一つは、目標をしっかり見つめることです。サッカーなど、練習はきついです。しかし、目標をいつも忘れず見つめていると、それに耐えることができます。さきほどの聖書にもこうありました。「なすべきことはただ一つ、うしろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ、神がキリストイエスによって上に召してお与えになる賞を得るためにひたすら走ることです」と。もう一つは、一緒に歩く友達・仲間がいることです。仲間がいると励まし合って歩き続けることができます。たとえ仲間がいない人でも神様・イエス様は一緒に歩き続けてくださいます。イエス様から歩き続ける力と勇気をいただくことができます。この秋、私達は色々な物にチャレンジして最後まで歩き続けたいと思います。