説教『苦しんでいる人の友となる』(ルカ10:30~37)

2015年 6月14日  花の日・子どもの日・全体礼拝・説教要約
説教『苦しんでいる人の友となる』(ルカ10:30~37)

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◎今日は6月第二日曜日、花の日・子どもの日です。今日は子ども達・大人の人が一つになって礼拝を捧げます。今、色々な花が美しい季節を迎えていますが、そのお花をお家から持ってきて、病気で苦しんでいる人達、ご高齢の人達、一人で寂しく暮らしている人達にお花を届けて、心を慰めようということで始まった日です。今日も先ほど「福音の家」に行って、お花とカードを届けてきました。皆さん喜んでくださり、うれしく思いました。
◎さて、私達は目の前に困っている人や苦しんでいる人がいた時、どうするでしょうか。また、どうしたらいいでしょうか。さっき読んでもらった聖書、ルカによる福音書10章には「良きサマリア人のたとえ話」が語られていました。ある旅人が「追いはぎ」に襲われて、身に着けている物や持っていた物をすべて奪われてしまった。
しかも、追いはぎに殴られて半殺しにされ、道に倒れています。そこを通りかかった祭司はそれを見ると向こう側を通って行きました。次に通りかかったレビ人も向こう側を通って行きました。神様に仕える祭司もレビ人もなぜ、助けなかったのでしょうか。忙しかったのかもしれませんし、面倒だと思ったからかもしれません。ところが、3番目に通りかかったサマリア人は、倒れている旅人の傷を消毒した後、宿屋に連れて行き、一晩中、介抱し、翌朝、宿屋の主人に「この人を助けてやってください、費用がかかったら帰りがけに私が支払います」と言って宿をあとにした、と言います。イエス様は、「倒れている人・困っている人・苦しんでいる人がいたら助けてやりなさい。それが自分を愛するように隣人を愛することですよ」と教えてくださいました。でも、それは大変、難しいことです。私達にはなかなかできません。しかし、そのようにできたら素晴らしいことです。
◎そのように倒れている人・苦しんでいる人を助け続けた人、そのために人生を捧げた人は、この世界にはたくさんおられますが、その中から、今日は、マザー・テレサという人のことをお話します。マザー・テレサは、今から18年前、1997年9月に87歳で亡くなったシスターです。インドのカルカッタという街で貧しい人達・子ども達・病で苦しむ人達を助け続け、生涯、神様と苦しむ人に仕え、1979年にノーベル平和賞を受けた人です。
◎マザーが生まれたのは1910年8月。ヨーロッパの旧ユーゴスラビアで生まれました。豊かな家庭の3人兄弟の末っ子として生まれました。ところが、9歳の時に父親が亡くなり、貧しくなりました。お母さんも働くようになりました。でも、お母さんは貧しい人を家に呼んで食事を共にした優しい人でした。マザーは幼い頃から教会に通い、14歳の時にインドから帰って来た宣教師の話に心を打たれました。「インドには考えられないような貧しい人がたくさんいる。私達はその貧しい人達を助けるために働いている。これはイエス様から与えられた愛の使命です」、その話を聞き、マザーはシスターになってインドにいく宣教師になることを決意します。そして、18歳の時に修道院に入り、その2か月後、シスターになり、インドに渡り、宣教師として働いたのでした。
◎最初はシスターとして修道院で生活しながら学校で教えました。カルカッタの裕福な家庭の女子が学ぶ学校です。やがて、マザーは校長先生になりますが、それでいいのかと思うようになりました。というのも、カルカッタの街には貧困と病で苦しんでいる人達が大勢いたからです。そのように悩む中でマザーは神様の声を聴きました。「あなたは貧しい人達の中で最も貧しい人達の中に入って行きなさい」と。その声を聴いてから2年後、マザーは貧しい人達が暮らすスラム街に一人で入って行きました。お金は150円しかなかったそうです。マザーはスラムの子ども達に勉強を教え始めました。青空教室です。次第に子どもたちは増え、支援する人、一緒に働く人達も出てきました。そうした中で、最初にしたことは路上で生活する貧しい人達を助けることでした。その中には、病に罹り、死んでいく人達もいます。マザーは、安心して死んでいけるように、死にゆく人たちを運び、治療し、食事を与えます。最後は安心して死んでいかれます。そこは、やがて「死を待つ人の家」となり、何もかも失い、貧しさの中で路上生活を強いられ、病気に罹って死んでいく人達の最後の安らぎの場所となって行きました。

◎また、貧しさのために亡くなった両親の下で路上生活を強いられている子ども達、ごみ箱に捨てられた赤ちゃんを守り、育てることも始めました。貧しく、助けを必要としている子ども達を集め、「子ども達の家」で育てました。また、ハンセン病と言う重い病、神経と皮膚がマヒし、手足の指や耳鼻がとけていく病に罹り、社会から追われ、家から追い出された人達を援助する活動も始めます。そのようにしてマザーが始めた奉仕は全世界に広がっていきました。多くの施設が誕生し、今では多くの人達がそこで生活し、また、生き生きと働いています。
◎マザー・テレサはこういうことを書いています。「貧しい人達は神様の姿を変えて現れています。貧しい人達は、キリスト様が姿を変えて現れたのです。貧しい人に触れる時、キリストに触れています。貧しい人達に愛を注ぎなさい。痛むほどの愛を注ぐのです」と。貧しい人達の中に神様が、イエス様がおられるのです。今日の花の日、私達はイエス様から頂いた愛を持ってさらに隣人に仕えることができるように祈って行きたいと思います。