2015年 5月10日 母の日・全体礼拝・説教要約
説教『わが子を守った母の愛・神の愛』(出エジプト1:22~2:10)
◎ 今日は5月第2主日、復活節第6主日を迎えています。今日は子ども達と大人の人が一緒に礼拝を捧げる今年度・1回目の全体礼拝です。今日は母の日を覚えて礼拝を捧げます。この母の日は、アメリカの教会で生まれて100年以上経ちますが、一人の女性が亡き母に感謝する集いを教会で始めたことがきっかけとなり、今は全世界に広がりました。今日は、母の日を覚え、私達を生み育ててくれた母と母を私達に贈ってくださった神様に改めて感謝したいと思います。今日、お話するのはモーセのお母さんの話です。
◎モーセさんという人は、苦しんでいたイスラエルの人達をエジプトから脱出させたリーダー・指導者です。
そのモーセさんが生まれた頃、エジプトという国にはたくさんのイスラエル人(ヘブライ人ともいいます)が住んでいました。なぜ、たくさんのイスラエルの人達がエジプトに住んでいたのかというと、そのずっと昔、イスラエルの人達が住んでいたカナンという所では雨が降らなくなり、食べる物がなくなってしまいました。それで、イスラエルの人達は食べる物を求めてエジプトに移って行ったのでした。その後、エジプトではイスラエル人が増えていきました。それで、心配したのがエジプトの王様です。もし、戦争が起こって、たくさんいるイスラエル人が敵側についたら、エジプトは敗れてしまう。そうなったら大変だ。
そう思った王様はイスラエル人を減らすために大変、きつい仕事を朝から晩まで与えて、苦しめました。しかし、イスラエル人は減るどころか増えていきました。それで王様は生まれてきた男の子はナイル川にほうり込んで、殺せと命令したのでした。そういう頃に、イスラエル人であるモーセは生まれたのでした。
◎モーセのお母さんは、男の子が生まれた時、殺すことはできませんでした。自分が産んだ子です。どうして殺すことができるでしょうか。お母さんはその子が大変、かわいかったので、家の中に3か月間、隠していました。でも、ついに隠しきれなくなります。それでお母さんは、パピルスという草でカゴを作り、それを油で防水し、その中に赤ちゃんを入れて、ナイル川の畔(ほとり)の草むらに隠しました。そこに王女が水を浴びるためにやってきました。そして、そのカゴを見つけました、その中には何と赤ちゃんがいました。その様子を見ていたのが赤ちゃんのお姉さんです。その姉は「お乳を飲ませる乳母を連れてきましょうか」というと、王女は「そうしておくれ」といいます。するとその姉はその赤ちゃんのお母さんを連れてきました。そのようにして、その赤ちゃんは助かり、母親の元に大きく成長し、一人前の若者に成長してきました。そして、立派な若者になった時、王女の所に連れて行かれました。その若者がモーセです。その後、この指導者モーセによってイスラエルの人達はエジプトを脱出することになったのでした。
◎この話が教えていることは、この生まれたばかりの赤ちゃんの命を守ったのはお母さんであったということです。エジプトの王によって生まれてきたヘブライ人の男の子は殺すことが命令されていました。その命令に従わないと両親が殺されてしまいます。しかし、お母さんは生まれた我が子を殺すことができず、その命を守りました。生まれた生命を守ったのはお母さんだったのです。しかし、もう一人、その赤ちゃんを守った人がいます。それは神様です。神様がお母さんを通して赤ちゃんを生まれさせ、その命を守られたのです。この赤ちゃんは後にモーセになります。このモーセが指導者となり、イスラエルの人達は苦しいエジプトから脱出することができたのです。神様がおられたからこそモーセの命は守られたのでした。
◎それは私達も同じです。私達にはそれぞれ愛するお母さんがいます。お母さんがいたから、私達は生まれ、大きく育つことができました。お母さんが私達の命を守り、育ててくださったのです。そして、そのお母さんを私達に与えてくださったのは神様です。神様が私達に最もふさわしいお母さんを与え、私達の命が守られ、大きく育つことができたのです。だから私達はお母さんと神様に心から感謝をしたいと思います。
◎最後に最近読んだ『ちいさな あなたへ』という絵本を紹介します。これは、お母さんが生まれた子ども(女の子)に呼びかけた文章が書かれています。「あの日、わたしはあなたの小さな指を数え、その一本一本にキスをした。初めて雪がふった日、空へ向けて抱き上げた、あなたのまあるいほっぺの上で雪がとけていった。道を渡る時もあなたはいつもわたしの手にしがみついた。いつのまにやら、あなたは大きくなって、わたしの赤ちゃんは、わたしの子どもになった。やすやすと夢をみているあなたを見ながら、わたしも時々、夢を見る。あなたが湖の中に飛び込む姿、ほの暗い森へさまよい歩く姿、きらきらと喜びに輝く姿、悲しみに沈む姿、大きなことにチャレンジする姿…、やがて、あなたも母となり、あなた自身の子どもを育てる日が来る。そして、あなた自身も老いる日が来るだろう。その時に、わたしのことを思いだしておくれ…」。いつまでも私達のことを愛してくれているお母さんと神様に心から感謝しましょう。