説教『救いは近づいている』(牧野信次先生)(ローマ13:1~4) 創立40周年記念・主日礼拝・説教要約 

◎今日、このようにして私たち二人を招いてくださり、久しぶりに鶴川北教会の講壇に立てたことを心より感謝したいと思います。何よりも、私がこの教会を辞して以来、秋永先生が今日まで教会を守り、しっかりと伝道と奉仕を続けて来られ、今日と言う日を迎えることができたことを深い敬意をもってお礼申し上げたいと思います。

◎私は35歳から70歳までこの教会で育てられました。教会が設立される7年前の1969年3月に、初めて鶴川を訪ね、渡瀬さん宅で家庭集会が持たれた時、それ以降、この地に教会ができるとは想像すらできませんでした。この7年間は教会の土台を作った7年間だったと思います。その間、多くの方々が支えてくださり、この地に教会を建てるという目的が次第に明確になり、教会が形成されていきました。私は1971年から73年までの2年半、ドイツに留学していましたが、その時に今村一男さんご夫妻が私を訪ねて招聘を受けました。祈り考えた末に鶴川の皆さんに手紙を書きました。「教会はなぜ、この世にあるのか」「なぜ、必要なのか」「教会とは何なのか」、そのことを自明のこととせず、共に生き支え合う、特に強い人が弱い人を支え共に生きる、そのことによって日本の社会・家庭を変えていく。それがこの世に与えられている教会の課題である、そう考えてきました。

◎今日の箇所に「あなたがたは今がどんな時であるかを知っています。眠りから覚めるべき時が来ています」とあります。私は20歳の時に受洗しました。罪を赦されたい、清く生きたい、そういう思いで受洗しました。その時、授洗してくださった浅野順一先生から礼拝を大切にすること、聖書をよく読み、学び続けること、どんな時でも祈ることを約束させられました。キリストに赦され救われていること、あなたはあなたらしく生きていいのだということを知らされ、人間としての真の安らぎと落ち着きを与えられました。私はすでに救われているのだ。このことを確信して以来、50年間、牧師として歩んできました。受洗して58年。私の教友は松浦基之さんです。教友として常に支え見守って下さいました。鶴川北教会でも信仰による友情によって支えていただきました。教会とは何のためにあるのか。この救われている喜びを隣人に伝えたい。また、生きて甲斐ある人生を送りたい。そのことのために繰り返し祈り、聖書を読み、礼拝を通して神を仰ぐ、それが教会だと言っていいでしょう。

◎「眠りから覚めるべき時が来ている」とあります。「お前は目覚めているのか」という神からの問いかけがあります。私たちは「目を覚まして生きる者」でありたいと思います。「救いは近づいている。夜は更け、日は近づいた」。主はすでにこの世に来てくださった。そして、救いをもたらして下さった。そしてさらに、主は再び、来たりたもう。教会は「すでに」と「いまだ」の中間時を歩んでいます。再臨の時、主は再び来たりたもう。使徒信条にも告白されています。しかし、それを本当に信じて待つ者は少ない。あなたは信じていますか。私達は再臨の時が来る前に自分は死んでいると思っている。私もそういう所があります。しかし、主は、再び来たりたもう。その終わりの日を待ち望みながら生きること。今年の3月に召天された今村一男さんからの3年前のイースターカードに、主が復活された日にエマオ途上の弟子達に主が現れた時、彼らは主イエスが生きておられると気づいたとありました。やがて来る終わりの日に救いは完成する。生と死がまったき完成へと至る救いの完成の日が来る。私たちはその日に向かって歩んでいるだろうか。その日に向かって歩んで生きること。それが証しになります。生きるにしても死ぬにしても、キリストのために生きること。これが私たちの証しです。このことが教会の信仰告白となりました。それが2000年の教会の歴史が私たちに与え続けてきた信仰であり、恵みです。

◎今日の「牧師室の窓」に、会堂が建てられた時に作られた教会員の城島宗孝さんの詩が紹介されています。私も、ここに持ってきました。鶴川北教会の「10年の歩み」の中に城島さんの詩が載っています。「主よ ~献堂の日によせて~」 「主よ お疲れになられたのではないでしょうか この十年余 あなたは 私たちとともに否 私たちを曳きずるようにして この鶴川の地を あちこちと お歩きくださいました 雑貨屋の二階にも学習塾の教室にも あなたは 気軽に お立ちになりました あなたが立ち現れるところ どこでも 立ちどころに 教会となり 礼拝の場所になりました 主よ あなたは この十年余 私たちに教えてくださいました 患難を喜ぶ訓練と 祈りつつ待つことの大切さを …」。 秋永先生も書いておられますが、城島さんは、「祈りつつ待つことの大切さを」と書いておられる。ここにキリスト者の生き方があります。主が再び来たりたもう日に、この世の救いは完成する。最後の勝利がある。ここに私たちの希望があります。主イエスは、復活の出来事を通して救いの物語が今も続いていること、この世を愛し、守って下さっていることを教えておられます。

◎イギリスではEU離脱の動きがあり、日本では参院選挙が行われる。この世界には様々なことがありますが、神はこの世を愛しておられる。この世界を包み込んでくださっている。神は、終わりの日に救いを完成してくださる。その日まで、神の御業に参加して生きて行く。これが教会に託された使命であり、鶴川北教会の使命です。