説教『すべての人と命に仕えた人生』(マルコ10:43~45 )

2017年9月3日       秋の活動に向けた「振起日全体礼拝」説教  
説教『すべての人と命に仕えた人生』(マルコ10:43~45 )

 

◎9月最初の主の日・日曜日を迎えました。今日は、秋の活動に向けた「振起日礼拝」、しかも、子どもも大人も一つになって礼拝を捧げる全体礼拝です。子ども達は2学期が始まりました。教会では秋の活動が始まりました。神様の導きの元に共に心を合わせ、祈りを合わせて与えられた務めに励んで参りましょう。

◎今日は、そのように新たな思いで活動を始めようとしている私達が「どのような思いで活動して行ったらら良いのか」について、聖書を通して一つのことを心に刻んで行きたいと思います。それは「すべての人に仕える」ということです。今日の聖句に「あなたがたの間で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、一番上になりたい者は、すべての人の僕(しもべ)となりなさい」とあるように、イエス様は「すべての人に仕えなさい」と教えておられます。身を低くして謙遜になりすべての人に仕えることが大切なのです。

◎今日は、「すべての人に仕える」という生き方を生涯、貫いた一人の人のお話をしたいと思います。その人の名は、アルベルト・シュバイツアーといいます。シュバイツァーは、52年前の1965年に亡くなっていますが、今から100年ほど前、アフリカの中央部、現在のガボン共和国の原生林の奥にあって村に入り、お医者さんとして50年間、病気で苦しむ人に仕えてきた人です。その頃のアフリカ中央部には病院もなくお医者さんもいませんでした。そのような所に医者として行き、多くの人を助けた人で、「アフリカの聖者」「密林の聖者」として世界中の人に尊敬され、世界平和に貢献しノーベル平和賞を授与されています。

◎シュバイツアーが生まれたのは、1875年1月14日、今から142年前、ドイツのアルザス地方です。アルザス地方は今はフランス領になっていますが、いつもドイツとフランスが領土を巡って争ってきた所です。お父さんは牧師さんで、5人兄弟の長男でした。生後半年後にギュンスバッハという村に引っ越し、そこで幼少期を過ごします。読み書きが得意でピアノやオルガンも上手に弾きました。大変心の優しい子で、貧しい人やいじめられている人を見ると心を痛めました。ある時、シュバイツアーが年上の男の子とすもうをとって勝つと、男の子が「僕だって週に2回、肉のスープを食べたら勝てる!」と言うのを聞いてから肉のスープを食べなくなりました。また、友達と小鳥をゴムと小石で撃ちに行った時、シュバイツアーは撃ちたくないなと思いながらゴムを引くと教会の鐘が鳴りました。その鐘の音を聞いて「殺してはならない」という聖書の教えを思い出し、「逃げろ!」と小鳥を逃し、鐘の音で気が付かせてくれた神様に感謝したと言います。10歳になるとミュルハウゼンという町にあるギムナジウム(中学高校)に入ります。そこでは読書とオルガンに励み、オルガンでは16歳の時に教会の演奏者になるほど上手に弾けました。

◎大学に進むと、聖書の勉強やオルガンの練習に励み、オルガンでは演奏会を開けるようになりました。やがてシュバイツアーは聖書を教える学者として、また、オルガン演奏者として有名になって行きました。しかし、シュバイツアーはこれでいいのかと悩みます。自分はやはりイエス様のように苦しむ人を助けるために生きるべきではないかと思うようになります。そして、「30歳になったらこの世で苦しむ人のために人生を捧げよう」と決意しました。29歳の時、ある雑誌でアフリカ中央部では病院なく医者もいない、医者として誰か来てほしいと言う文章を読み、医者になる決意をし、30歳の時に医学部に入ります。その後、医者になる勉強を続け、1913年、38歳の時にアフリカ中央部に渡り、密林の奥にあるランバレネと言う村に小屋を建て、それを病院にして病気の人を治し始めました。マラリヤ、肺炎、ハンセン病、皮膚病などに罹った多くの病人が集まるようになります。中には300キロも離れた所から来た人もいました。

◎そのようにシュバイツアーは医者として働き始めましたが、1914年に第一次世界大戦が始まると1917年にフランス軍に逮捕されました。シュバイツアーが敵国のドイツ人だったからです。シュバイツアー夫妻はフランスの収容所に入れられます。その間、病気にかかり体も衰弱しました。医者として働けなくなりました。しかし、シュバイツアーは再びアフリカで医者として働くことを決意し、講演会やオルガンの公演会を開催して資金を集め、1924年、再びあふるかに渡り、その後、40年間、アフリカにおいて病気で苦しむ人達のために働きました。世界平和のために貢献したことで1953年ノーベル平和賞を授与されました。

◎シュバイツアーは「生命への畏敬」ということを言いました。すべての生命をおそれ、敬い、大切にすることを教え、生命を傷つけたり、破壊することを止め、生命を守り、育てていくように教えました。人間の生命だけでなく、地球上の生命を守り、共に生きて行くこと、それが世界平和の道だと教えたのです。シュバイツアーの生き方の根底にはいつもイエス様の生き方・教えがありました。「すべての生命を愛し、仕える」ことを教え、生きたのはイエス様です。私達もそのイエス様にならい仕えて生きて行きましょう。