説教『一人で立ちあがった人』(マタイ5:9~10)

2014年11月9日               子ども祝福・全体礼拝・説教要約
説教『一人で立ちあがった人』(マタイ5:9~10)

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◎11月第二の日曜日を迎えています。今日は、大人の人と子ども達と一緒に捧げる全体礼拝です。今日は、この後、子ども達に神様の祝福を祈る子ども祝福式を行います。その前にお話をしますので、よく聞いてくださいね。ここに1枚の写真を持ってきましたが、この人は誰だか分かりますか。この人はマララさんと言って、今年、ノーベル平和賞が贈られることになった人です。まだ高校2年生、17歳の女の子です。これまでノーベル平和賞が贈られた人で一番若い人です。今日はマララさんのことをお話ししましょう。
◎マララさんは、今から17年前、1997年7月12日、パキスタンと言う国の北にあるスワート地方に生まれました。スワート地方は山に囲まれた美しい所だそうです。5人家族で、お父さん、お母さん、弟が二人いる、3人兄弟の一番上のお姉さんです。お父さんは、若い頃から学校を建てる夢があって、学校を建てた人です。というのは、パキスタンには学校に行けない貧しい子ども達や女の子がたくさんいたからです。お父さんは、貧しい子どもも女の子もすべての子ども達が学べる学校、そして、自由に考え、自由に学べて、自由に語れる学校を建てたいと思う、苦労して学校を建て、学校を運営していたのでした。
◎パキスタンと言う国には、イスラム教の国ですが、イスラム教にも色々な考えがあり、対立が起こり、争いがなくなりません。その中でも大変、厳しい教えを守るタリバンというグループがあるのですが、タリバンは、音楽やダンス、映画はだめだと禁止したり、また、女の子は学校に行かなくてもいいと言って、女の子が学校に行くのを止めさせようとします。そのタリバンが、マララさんの住むスワート地方を支配しました。2007年、マララさんが10歳の時です。タリバンの教えに反対する人たちは捕えられ、鞭で打たれたり、牢に入れられたり、中には殺されたりする人も出ました。マララさんのお父さんは、タリバンのやり方に反対しました。特に女の子は学校に行くべきではない、家にいなさいという教えには反対しました。それで、お父さんは「殺してやる」と脅かされたりしましたが、反対し続けました。マララさんもタリバンのやり方に反対しました。11歳の時には、ラジオのインタヴューで「どうしてタリバンは学校に行って学ぶ権利、教育を受ける権利を私達女の子から奪うのか」と訴え、タリバンに反対し続けました。
◎そういうマララさんはタリバンの男の人にピストルで撃たれました。今から2年前、2012年10月9日のことです。その日、マララさんは学校が終わって家に帰るためにスクールバスに乗ったのですが、その途中、タリバンに属する男の人がバスを留め、「マララはどこだ」と言ってバスの中に入ってきて、マララさんをピストルで撃ったのです。マララさんは頭を撃たれました。すぐに病院に運ばれましたが、重体になりました。皆は、「マララは助からない。もうだめだ」と思いました。でも、マララさんは意識不明のままイギリスの病院に運ばれ、その1週間後に目を覚ましました。マララさんは助かったのです。この事件が全世界に流れ、世界中の人がマララさんが助かるように祈りました。マララさんが助かったことを世界の人達は喜びました。そして、女の子が学校に行くことができなくなっていることを知ったのでした。
◎その後、マララさんは家族と共にイギリスで暮らし、イギリスの学校に通っています。マララさんは、その翌年の誕生日、2013年7月12日に国連に招待され、世界に向けて「世界中のすべての子ども達が教育を受けられるように」とスピーチをしました。マララさんはこう言いました。「世界の無学、貧困、テロに立ち向かいましょう。本とペンを持って闘いましょう。一人の子ども、一人の教師、一冊の本、一本のペンが世界を変えるのです」と。私達は、マララさんから二つのことを教えられます。一つは、正しいことを勇気をもって訴えれば、一人でも勇気をもって立ち上がれば、世界は変わると言うこと。もう一つは、神様への信仰がその勇気を与えてくれると言うことです。マララさんは神様が必ず守ってくれると信じていました。そして、毎日神様に祈っていました。神様への信仰がマララさんに勇気を与えたのです。
◎このマララさんのことを考えていたら、マララさんよりずっと前に一人で闘った人がいることを思い出しました。それはイエス様です。イエス様は、神様の正しい教えを教え、また、その教えを実行しました。そして、イエス様は捕えられ、十字架につけられて殺されました。イエス様は一人で闘われたのでした。
そのイエス様はこう教えています。「平和をつくり出す人達は幸いです。その人たちは神の子と呼ばれる。義のために迫害される人達は幸いである。天の国はその人たちのものである」と。私達は、イエス様やマララさんのように、一人でも正しいことを訴えることのできる勇気のある人になりたいと思います。神様は必ず私達を助けてくださいます。神様としっかりと結びつき、勇気をもって生きて行きたいと思います。