説教『神様の忠実で賢い管理人』(ルカ12:41~48)

2014年11月2日                 宗教改革記念日礼拝・説教要約
説教『神様の忠実で賢い管理人』(ルカ12:41~48)

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◎11月最初の主の日を迎えました。先週は天に帰られた召天者を覚えて永眠者記念日礼拝を捧げました。
日本基督教団ではこの日、永眠者記念日として礼拝を捧げています。今日はこの「永眠者記念日」を覚えながら、また10月31日の宗教改革記念日を覚え、また、明日の教会修養会を覚えながら礼拝を捧げたいと思います。今日はそれにふさわしい御言葉、ルカによる福音書12:41~48が与えられています。今日は、この御言葉を通して神様の忠実で賢い管理人とはどういう人をいうのか共に学んでいきたいと思います。
◎前回はその前の記事、ルカ12:35~40を取り上げました。ここでは世の終わりの日、主が再臨なさる時、主がいつ来られてもいいように腰に帯を締め、ともし火を灯して待ちなさい、目を覚まして時に備えて待ちなさいということを主ご自身が教えられました。その主の教えを聞いたペトロが主に質問するところから今日の話は始まります。ペトロは主に尋ねます。「このたとえは私達のために話しているのですか、それともみんなのためですか」と。つまり、弟子達・指導者のために話したのか、それとも、一般の信徒、また、一般の人に対して話したのかと尋ねます。主はその問いに直接答えず、「主人が召使たちの上に立てて、時間通りに食べ物を分配させることにした忠実で賢い管理人は一体、誰のことであろう。主人が帰って来た時、言われた通りにしているのを見られる僕は幸いである」と語ります。つまり、ここで主は、主イエスの忠実で賢い管理人になりなさいと教えているのです。では、それはどういう人なのでしょうか。
◎それは、まず「主人が召使の上に立てた」とあるように、主人であるイエス様が選び、人々の上に立てた人であり、主の命令に従い、主に仕える人です。しかも、主が帰って来るまでの間、任されているという自覚のある人です。では何を管理するのでしょう。それは家の財産や収支の管理ということでしょうが、ここで特に言われているのは召使たちの管理、とりわけ、食事の管理です。人の管理が最も重要なのです。
ではどのように管理するのが「忠実で賢い」のでしょう。それは「時間通りに食べ物を分配させる」とあるように、決まった時間に食事を提供させることです。決まった時間に食事を提供することは難しいことです。しかも、予算を考え、召使の体調などにも配慮しなければなりません。「忠実」とは主人への忠実です。主人の思いを第一に考えることが重要です。「賢い」とは「思慮深い」ということです。家全体、収支全体、時間管理、召使の管理等全体を良く見、深く考え、すべてに配慮していくことが求められます。教会、家庭、学校、職場、地域すべてに目を配り、深く考え、細やかに配慮することが賢い管理人です。
◎しかし、忠実で賢い管理は実に難しいことです。12:45~47には「忠実で賢い」とは反対に「忠実さと賢さ」を失った管理人の姿があります。それは「下男や下女を殴ったり、食べたり飲んだり酔ったりする」管理人です。なぜ、そうなったのか。それは「主人の帰りが遅い」と思ったからです。主人は当分、帰ってこないと思い、自分が主人になったかのように自分勝手に振る舞ったのです。ここには神への忠実を忘れ、賢く思慮深く管理することを忘れた愚かな姿があります。このような姿は教会の中においても見られましたし、そうなる危険性が常にあります。会社や家庭でも見られます。信徒・社員・妻や子は神から託された大切な神の子です。そのことを忘れ、自分の感情や欲望、思いによって彼・彼女たちを苦しめている。そのことを考えると、私達は悔い改めざるを得ません。私達はまず悔い改めることが求められます。
◎ ではどのようにしたら「忠実で賢い」管理人になれるのでしょうか。それは第一に、何よりも神様・イエス様との関わり・絆・結びつきを深め、また、強めることです。日本の歴史において武士たちが政権を担った時代がありましたが、その時代に最も重んじられたのは主君への忠義です。主君の愛と恩恵に応えて家来が忠義を尽くす。キリスト教では、それ以上に神の愛と恵みに応えて神に対し命懸けで仕えます。
使徒ペトロ・パウロも主イエスの深い愛と恵みに心打たれ、その主の愛と恵みに応えて命懸けで主を伝道していきました。ペトロもパウロも主イエスの深い絆があったからこそ主に対し「忠実で賢く」仕えたのです。宗教改革者、マルティン・ルターもそうです。「イエス・キリストを信じることにより信じる者すべてに与えられる神の義」と言う言葉によって、神は憎しみの対象から愛の対象に変わりました。この神への信仰が、神によって自由にされた者が愛によって仕える僕とされるという宗教改革の原理に導いたのです。カルヴァンもまた神の深き愛と憐れみに心打たれ、神の忠実な管理人となっていきました。この神との深き絆に加えて、神のみ言葉に日々触れ、祈ることによって私達は神の忠実で賢い管理人になっていきます。私達は日々、神様との絆を深めながら、神様の忠実で賢い管理人になっていきたいと思います。