2016年11月27日 アドベント礼拝・説教要約
◎今日から待降節に入りました。昨日は、餅つき大会を終えた後、クリスマス委員を初め、教会員の皆さんが準備をしてくださり、今日は、美しく飾られた中、待降節・アドベントの第一主日を迎えることができました。アドベントとは「来る」という意味ですが、私達の心に主イエスを新たに迎えるために、また、この世の救いを完成するために再び来たりたもう主を迎えるために、この期間、祈りつつ、主を待ち望みつつ歩んで参りましょう。
◎この待降節の礼拝では、ルカ福音書1章に立ち帰って御言葉の一つ一つを順追って取り上げながら主のご降誕に備えたいと思います。今日はその第1回ということで、ルカ1:5~25を取り上げます。今日の話は、洗礼者ヨハネが父ザカリヤと母エリサベトとの間に身ごもったという話です。洗礼者ヨハネとは、「悔い改めよ、神の国は近づいた」とユダヤの人々に呼びかけ、悔い改めの洗礼を受けるように宣べ伝えた偉大な人物です。他方、ヨハネ自身は「私より優れた方が後から来られる」と言い、主イエスが来られる道を備えた人物でもありました。
◎福音記者ルカは、主イエスが誕生するのに先立って洗礼者ヨハネ誕生の話から福音書を書き始めます。それは、1:3~4にあるように、当時、社会的地位の高いローマ人ティオフィロとその背後にいるギリシャ・ローマの人々に向かって「順序正しく書いて、イエス・キリストの救いの出来事が確実である」ことを伝えるためでした。今日は、この記事に込められた主イエスの誕生の意味を探り、大切なメッセージを聞いていきたいと思います。
◎早速、どのような話か見て行きましょう。1:5~6によると時代はヘロデ王の時です。ヘロデの在位は紀元前37~4年ですが、マタイ福音書によるとこれはヘロデ王が亡くなった年の話ですから紀元前4年の話です。ヨハネの父ザカリヤはアビア組の祭司でした。祭司は24組に分かれていて、アビア組はその8組でダビデ時代以来の伝統を持っています。その妻エリサベトもモーセの兄アロンの家系のアロン家の祭司の娘でした。二人は信仰深い両親でしたが、子どもに恵まれず、年を取っていました。その二人にどのようにして子が授かったのか。1:8以下によると、ザカリヤが神の御前で祭司の務めをしていて、主の聖所に入り香を焚いていた時、突然天使が現れて、「あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい」と告げたと言います。しかも、ヨハネは神様の大きな使命を果たすと言います。それに対してザカリヤは「何によってそれを知ることが出来ましょう。私は老人ですし、妻も年を取っています」と答えます。天使は自分の名前を名乗り「この喜ばしい知らせを伝えに来たのに私の言葉を信じなかったので、このことが起きるまであなたは口が利けなくなる」というと、ザカリヤの口は利けなくなります。その後、天使が告げた通り、妻エリサベトは身ごもった、という話です。
◎この話は何を伝えているのでしょうか。今日は4つのメッセージをお伝えしたいと思います。まず、第一のメッセージは、なぜ、ルカは主イエスの懐妊の出来事の前に洗礼者ヨハネの懐妊のことを書いたのかということです。それは、1:1~4の序文にあるように「(福音を)順序正しく書いて…教えが確実なものであることを知ってほしい」からです。ルカはギリシャ人であり、医者でした。いかにして福音をギリシャ・ローマの人々に伝えるかに生涯を掛けた。そのために順序正しく福音を書こうとした。だから主の前にヨハネのことを書いたのです。
◎第二のメッセージは、神の救いの出来事は神の主導で進められるということです。ヨハネ誕生においても神が主導して進められました。それは父ザカリヤの前に天使が現れてヨハネ誕生の知らせを告げて事からも分かります。ザカリヤは一生に一度の大仕事、大事な祭司の務めの最中に天使は現れ、ヨハネ誕生を告げました。神様は人間の都合や時を選びません。一方的に介入して来られる。しかし、それは私達を救うためです。「神の妨害は人間に救いをもたらす」ためです。洗礼者ヨハネは救い主が来る前にそれを準備する役割を果たしました。ヨハネは救い主・イエスを迎える準備を整えるために来たのです。そのことを神ご自身が主導して実行されたのでした。
◎第三のメッセージは、なぜ、父ザカリヤの口が利けなくなったのかということについてです。彼は天使のお告げを信じませんでした。「時が来れば実現する私の言葉を信じなかった」のです。逆に言えば「時が来れば神の言葉は実現する」ことを信じるのが信仰です。へブル書11:1に「信仰とは望んでいることを確信し、まだ見ていない事実を確認すること」とあります。創世記18:14に年老いたアブラハムと妻サラの間に息子が生まれるという予告を笑ったサラに対して天使は「主に不可能なことがあろうか」と言います。神に不可能なことはない。そのことを教えるために神はヨハネが誕生するまでの10か月間、ザカリヤの口を利かなくさせました。それはザカリヤに沈黙させ、神の言葉を聴く人にするためです。静寂を知らない現代人にとって必要なものは、日々の静寂であり、神の言葉に聴くことです。神は神の言葉を聴くことでザカリヤの信仰を立て直そうとされたのです。
◎第四のメッセージは、ヨハネ懐妊の記事が伝えているのは喜びだということです。喜びを伝えるためにヨハネは生まれた。救い主の備えをするヨハネの到来は喜びでした。それは救い主が喜びをもたらしてくれるからです。